
「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」・・・全国どこでも見かけるあの丸いお菓子ですが、実は呼び名が地域によってまったく違うことをご存じですか?
今回、株式会社ニチレイフーズが14,057人を対象にした最新調査で、全国で最も使われている呼び名や都道府県ごとの勢力図が明らかになりました。
関東では「今川焼き」が主流ですが、関西では「回転焼き」の他に「御座候」「太鼓焼き」など地元独特の呼び名があり、知れば知るほど“呼び名”の奥深い世界が広がっています。
本記事では、
・呼び名の違いが生まれた歴史的背景
・呼び名別に多い地域のまとめ
・最新調査による全国ランキング
・都道府県別の呼び名MAP
・人気の味の傾向
などをわかりやすく紹介します。
あなたの地域では、何と呼んでいますか?読んだあと、誰かに話したくなる“呼び名の秘密”を一緒に見ていきましょう。
都道府県別「呼び名MAP」


引用元:株式会社ニチレイフーズ
全国の調査データをもとに、都道府県ごとの主流の呼び名を整理すると、日本列島が“食文化の境界線”で区切られているように見えてきます。関東・関西で違うのはもちろん、中国四国・九州でも呼び方が異なるなど、地域性が色濃く残る非常に興味深い分布となっています。
エリア別にその傾向を詳しく見ていきます。
関東地方:今川焼きが圧倒的支持
関東地方では、すべての県で「今川焼き」が多数派という結果になりました。特に、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県といった首都圏エリアでは、スーパー・屋台・お祭りの屋台の表記も「今川焼き」が標準になっており、地域文化として深く根付いています。
また、茨城県・栃木県・群馬県でも「今川焼き」が最も一般的ですが、一部地域では「大判焼き」と併用されるケースもあります。
関東は全体的に統一感のある分布で、“今川焼きエリア”と言ってもいいでしょう。
関西地方:今川焼き・回転焼きが拮抗
関西では、大阪府・奈良県で「回転焼き」が多いエリアですが、京都府・滋賀県・和歌山県では「今川焼き」が主流となっています。
特に兵庫県では名物「御座候(ござそうろう)」の存在が大きく、
- 回転焼き
- 御座候(商品名がそのまま呼び名に)
という2大名称が共存。デパ地下や駅ビルでは「御座候」専門店の行列が名物となるなど、地元文化の一部になっています。
中国・四国地方:大判焼きが多いエリア
中国・四国地方は、「大判焼き」が主流になっています。広島県では「今川焼き」が多数派でしたが、「二重焼き」という呼び名も根強く残っています。
九州・沖縄地方:回転焼が主流
九州地方は「回転焼き」、沖縄地方は「今川焼き」が主流です。「太鼓まん」や「蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)」も、九州のローカル感を象徴する呼び名として知られています。
沖縄では観光客向けの表記と地元表記が混在しているため、「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」という名称が同じ店に並ぶことも珍しくありません。
最新調査で判明!全国14,057人が選んだ“呼び名ランキング”

全国14,057人を対象に行われた最新アンケートでは、今川焼き・大判焼き・回転焼きといった定番の呼び名のほかに地域色の強い“レア呼称”まで幅広く使われていることが明らかになりました。
同じ食べ物でありながら、ここまで地域性や歴史が表れるのは非常に特徴的です。
全国で最も使われているのは「今川焼き」
| 呼び名 | 票数 |
|---|---|
| 今川焼き | 8,508 |
| 大判焼き | 7,309 |
| 回転焼き | 3,646 |
調査の結果、全国で最も多く使われている呼び名は「今川焼き」でした。とくに関東圏での支持が圧倒的で、年代を問わず広く親しまれています。「今川焼き」の由来は江戸時代に浅草・今川橋付近で売られたことが始まりと言われ、長い歴史をもつ呼び名であることも人気の理由です。
現在ではスーパーや屋台、和菓子店などでも“標準語的”に使われる場面が増えています。
東日本と西日本での呼称の違い
今回の調査で際立ったのは、東日本=今川焼き・大判焼き、西日本=回転焼き・大判焼きという大きな地域差です。
- 東日本 …「今川焼き」が圧倒的に多く、北東北・新潟では「大判焼き」が優勢。
- 西日本 …関西・九州では「回転焼き」が多数派で、他は「大判焼き」が優勢。九州では「蜂楽饅頭(ほうらくまんじゅう)」という呼び名も一般的。
このように、同じ食べ物でも西と東でまったく違う呼び名が根付いていて、食文化の地域性が表れています。
呼び名別に多い地域(今川焼き/大判焼き/回転焼き)

全国で広く親しまれているこのお菓子ですが、地域によって“主流の呼び名”が大きく異なります。最新調査や各地域の食文化をもとに、どの呼び名がどのエリアで多いのかをわかりやすく整理しました。
「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」は見た目こそ同じですが、呼び名の勢力図は都道府県ごとに大きく違います。旅行先で呼び名が通じなかったり、地元の呼び名を“方言のように”感じたりするのは、その地域独自の文化として今川焼きが根付いているからではないでしょうか。
今川焼きが多い地域
「今川焼き」が多いのは、関東地方を中心とした東日本エリアです。特に東京・神奈川・千葉・埼玉といった首都圏では圧倒的な支持があり、スーパーや屋台の商品名も「今川焼き」が基本。
理由としては、
- 東京・今川橋周辺で誕生した歴史的背景
- 関東の屋台文化の中で名称が広く普及した
- 大手食品メーカーの商品名にも採用されている
などが挙げられます。また、東北地方でも「大判焼き」と並んで「今川焼き」がよく使われていて東日本の広い範囲で定番の呼び名になっています。
大判焼きが多い地域
「大判焼き」が多いのは、中部・中国・四国エリアです。
大判焼きの呼び名が広まった理由には、大判焼きの焼き機と一緒に暖簾を配ったことで、小売店で呼び名が定着していったと思われます。
東北でも、「今川焼き」と「大判焼き」が併用される地域が多く、二大勢力として根付いています。
回転焼きが多い地域
「回転焼き」が多いのは、関西の一部、九州の西日本エリアです。
大阪府・奈良県では、「回転焼き」という呼び名がもっとも一般的で、子どもから高齢者まで幅広く浸透しています。また、兵庫発祥の人気店「御座候(ござそうろう)」の影響も大きく、“御座候=回転焼き”として親しまれてきました。
九州地方でも「回転焼き」が主流の呼び方です。
実はまだある!地域ごとの珍しい呼び名一覧

実は「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」以外にも、全国には地域限定のユニークな呼び名が数多く存在します。地元の人にとっては当たり前でも、県外の人からすると「それ何のこと?」と驚く場面も珍しくありません。
ここでは、特に知名度が高い“珍しい呼び名”をまとめて紹介します。
●御座候(ござそうろう)【兵庫県ほか】
兵庫県姫路市の名店「御座候」が由来で、商品名がそのまま呼び名として広まりました。関西では「回転焼き」と並んで認知度が高く、デパ地下でもよく見かけます。
●二重焼き(にじゅうやき)【広島】
広島県を中心に使われる呼び名。生地を焼いて重ねる製法から「二重焼き」と呼ばれていると言われています。今でも商店街の店頭で多く見られる呼び名です。
●太鼓まん(太鼓饅頭)【高知・愛媛】
太鼓のような丸い形から名づけられた、四国地方に多い呼び名。「太鼓まん」と略されることも多く、地元スーパーや商店街でもおなじみです。
●おやき【北海道・青森】
長野県の名物“野沢菜入りのおやき”とは全く別の食べ物ですが、北海道や青森では今川焼きを「おやき」と呼びます。同じ呼び名でも別ジャンルのお菓子なので、県外の人が混乱する呼び名です。
●義士焼き【赤穂周辺】
忠臣蔵の赤穂義士が持つ陣太鼓に似ていることからこの呼び名になりました。「太鼓焼き」から派生した呼び名です。
このように、全国を見渡すといろいろな呼び名があります。まるで方言のように、地域ごとの文化や歴史がそのまま呼び名に表れていることがわかります。旅行先で見かけたときは、地元の呼び名を確認してみるのも楽しいかもしれません。
今川焼き・大判焼き・回転焼き―呼び名の違いはなぜ生まれた?

同じ形・同じ作り方のお菓子なのに、地域ごとに呼び名が異なる理由は、歴史的な発祥地の違いとお店ごとの呼び名の浸透にあります。明治~昭和にかけて、各地で似たお菓子が次々と広まり、それぞれの地域で店名や商品名がそのまま「呼び名」として定着しました。
たとえば、江戸(東京)で生まれた「今川焼き」、関西の老舗店の名前が呼び名になった「御座候」、さらに製造方法から名づけられた「回転焼き」など、その土地の文化や店舗名が呼び名に影響しています。このため、県境をまたぐだけで呼び方が変わるということも起きているのです。
江戸時代から続く「今川焼き」の歴史
「今川焼き」という名は、江戸時代末期~明治初期に東京・今川橋付近で売られていたことが由来とされています。
今川焼きは人気を集め、地域名がそのまま商品名として定着。関東圏を中心に広く広まり、昭和に入る頃には“丸いあんこ菓子”の代表格として親しまれるようになりました。
また、屋台文化が盛んだった東京では、同じレシピでも店ごとに特徴が出やすく、「◯◯焼き」という名称で売られることも多かったことから、今川焼きが標準名として普及したと言われています。
「大判焼き」が広まった地域的背景
「大判焼き」という名前は、愛媛県松山市のお菓子とパンの材料や器具・機械メーカー「松山丸三」が考案した商品名が全国に広まったものとされています。
昭和30年代前半、同社は従来よりひと回り大きな今川焼きを焼く機械を開発し、当時ベストセラーだった小説『大番』にあやかって「大番焼き」と名づけようとしました。しかし、「小説の題名そのままでは工夫がない」と考えられ、“大きなサイズ(大きな判)”という意味を込めて「大判焼き」という名前に変更。
大判焼き専用の焼き機は「大判焼きの素」、さらに「大判焼き」と書かれた暖簾をセットで販売したことで、四国・中国地方から全国へ一気に呼び名が広まったとされています。
「回転焼き」と呼ばれる製法
「回転焼き」は、焼くときに金型を回転させて焼き上げる製法が由来と言われています。実際、屋台や専門店に“回転式焼き機”が普及したことで、名称がそのまま商品名として定着したという背景があります。
特に関西地方では「回転焼き」という呼び方が主流で、兵庫の名物である「御座候」も正式名称は「御座候(店名)の回転焼き」です。
作り方の特徴から名付けられたため、地域が変わっても比較的わかりやすい呼び名といえます。
名前の違いに“味の違い”はあるの?
結論から言うと、呼び名が違っても基本的な味や作り方に大きな違いはありません。どれも小麦粉の生地に餡を挟んで焼いた、同じカテゴリーのお菓子です。
ただし、地域や店舗によって
- 生地が厚さ
- 餡の種類(粒あん・こしあん・白あん)
- 焼き加減
などに違いがあるため、食べ比べると“微妙な個性”を感じることがあります。つまり、呼び名よりも店や地域ごとのアレンジの違いが味の差につながるというのが実際のところです。
呼び名は違っても、日本全国で愛される理由は「誰もが親しめる素朴な甘さ」というところにあるのかもしれません。
味は“あずき派”が圧勝!今後食べたい味ランキング

引用元:株式会社ニチレイフーズ
呼び名は地域によって大きく異なりますが、「どの味が好きか?」という質問になると、定番の味で一致していることが調査でわかりました。
今回のアンケートでは、「あずき」を中心に、カスタード、チーズ、抹茶あんなど、いろいろな味がランクイン。特に、“スイーツ系”が伸びている傾向も見られ、昔ながらの和菓子が時代とともに進化していることを感じさせます。
1位「あずき」2位「カスタード」の王道の味
ランキングの上位を占めたのは、やはり不動の人気を誇る 「あずき(粒あん・こしあん)」 と 「カスタード」。特にあずきは、73%という圧倒的な支持を集める“鉄板の味”で、甘さと香ばしさのバランスが良く、最も「今川焼きらしい味」として親しまれています。
2位のカスタードは、子どもから若年層にかけて高い人気の味。とろっとしたクリームの甘さが生地と相性抜群で、コンビニスイーツの影響もあって近年さらに注目度が上がっています。
どちらも王道の味で、初めて食べる人にもおすすめされる安定の2トップです。
3位「クリームチーズ」4位「抹茶あん」の人気も急上昇
3位には 「クリームチーズ」 がランクイン。北海道産のクリームチーズと生クリームが入っているので、ちょうどよい甘さで舌触りもなめらかです。SNSでも「クリームチーズ今川焼きが美味しすぎる」と話題になることも。
4位の 「宇治抹茶あん」 は、抹茶ブームの影響を受けて人気急上昇中。抹茶と小豆のバランスがとても良くやさしい甘さです。あずきと並んで“和菓子らしい深み”を楽しめるのが魅力です。
呼び名は違ってもみんなに愛される“国民的お菓子”

地域によって「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」と呼び名はさまざまですが、どれも多くの人に長く親しまれている“国民的お菓子”であることに変わりはありません。
歴史や文化、地元の食習慣によって呼び名や好まれる味に違いが生まれていますが、その違いこそがこのお菓子の魅力です。旅行先で変わった呼び名になっていたり、SNSで「あなたは何と呼ぶ?」と盛り上がったりするのも、このお菓子ならではの楽しみ方。
呼び名が違っても、焼きたての香ばしさとほっとする甘さは全国共通。これからも、多くの地域で愛され続ける存在であり続けるはずです。