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冬至の風習「ゆず湯」の由来と効果|ゆず湯に入ると風邪をひかない理由
日本には冬至に「ゆず湯」のお風呂に入る風習があります。
私も日頃から入浴剤を使っていますが、冬至にはやっぱりゆずを入れてゆず湯を楽しみます。
そのゆず湯はいつから始まり、由来は何なのでしょうか。
ゆず湯には良い効果があるのでしょうか。
調べてみました。
ゆず湯の由来
江戸のお風呂事情
江戸の町は埋め立ててできていたので、薪が少なく、水も水道を作って各所に溜めていた水を汲み上げて使っていました。
なので、お風呂に必要な薪と水は大変貴重なものでした。
また、町は家が密集していたので、大火事を恐れた幕府は、町人の家にお風呂を持つことを禁止していました。
そのため、江戸では各家庭にお風呂を持つことなく、身分の高い武士以外は武士も町人もみんな銭湯に行っていました。
江戸時代初期、1610年代に足湯のような戸棚風呂から現在のような首まで浸かる据(すえ)風呂を提供する湯屋ができます。
この頃は銭湯のことを湯屋(ゆや)と呼んでいました。
戸棚風呂は蒸気で体を温める蒸し風呂だったのに対し、据風呂はお湯で体を温めるお風呂だったので、「水(すい)風呂」とも呼ばれていました。
最初の頃は、お湯を沸かしてから桶に入れる組み込み式でした。
その後、桶の中に鉄の筒を入れてお湯を沸かす「鉄砲風呂」という方法が発明されました。
この鉄砲風呂は江戸で広まります。
関西のほうでは桶の底に平釜をつけてお湯をわかす「五右衛門風呂」の方法が主流でした。
客寄せでゆずを入れたのが始まり
銭湯は冬になると客が少なくなるのが悩みでした。
冬は寒くて帰りには湯冷めしてしまうので、みんな行かなかったのです。
そこで、ある銭湯が客寄せのために、庭の隅に植えてあったゆずを採ってお風呂に入れてみたのです。
ゆずを入れたお風呂は人気になり、冬でも客が来るようになりました。
他の銭湯もマネしてゆずを入れるようになり、一気に江戸中に広まりました。
その広まる過程でどこかの銭湯が「ゆず湯に入ると体の融通が利く」、つまり、「健康になる」というような語呂合わせのキャッチコピーを作ったようです。
また、商人の間では、ゆずの色は小判の色に似ているため、「小判の融通が利く」→「お金が回って困らない」となり、商売繁盛の縁起物として喜ばれたそうです。
ゆずは邪気払いや民間薬として重宝
でも、ゆずがなぜ銭湯の庭に植えてあったのか、不思議ではありませんか。
しかも、1軒だけでなく、江戸中の銭湯で。
そこには「ゆず」の使われ方が関係しています。
ゆずは枝に鋭い棘があり、果実は香りが強いので、邪気払いとして家の庭に植えられていることが多かったそうです。
また、ゆずの皮は陳皮(ちんぴ)と呼ばれる漢方薬にもなっているくらい効能があり、日本でも民間薬として風邪薬や出血止め、歯痛の薬として用いられていました。
商人の家では、ゆずは常緑樹ということもあり、「1年中枯れない」、つまり、1年中客が来るという意味で商売繁盛の縁起を担いで植えられることもありました。
そして、他の柑橘系ではなく、ゆずが庭に植えられていた理由に、ゆずは柑橘系の樹木の中では寒さに強く、専門家でなくても育てやすい樹木だったということもあります。
しかし、ゆずの果実は酸っぱくて生食に向かないため、全てを収穫する家はほとんどありませんでした。
そのため、ゆずの食べ方を紹介した料理本がたくさんあったと言います。
ゆず湯は冬至の期間?
冬至は二十四節気のひとつで期間を表す言葉でもあり、寒くなって客が銭湯に来なくなるこの冬至の期間(約15日間)に合わせてゆずを入れたのではないかとも言われています。
ゆずは秋の季語ですが、収穫時期は11月下旬から1月にかけてなので、ゆずがたわわになっている時期に当たります。
また、冬至の日には神社などでお祭りを行うところもあり、身を清める「禊ぎ」の意味でゆず湯に入ってからお祭りに行った人もいたと言います。
銭湯が客に来てもらうために考えた「ゆず湯」が現代の風習になっているのはすごいですね。
ちなみに、ゆず湯が全国に広まったのは、明治時代になってからです。
ゆずは果皮と果肉で成分と効果が違う
皮の成分と効果
- ビタミンC
- ヘスペリジン
- ユズノン
- 葉酸
- カロテン
- ビタミンE
- パントテン酸
果物と言えば、「ビタミンC」ですね。
ゆずはビタミンCが豊富でレモンの1.6倍も含まれています。
そして、ゆずの皮はビタミンCの含有量が100g中150mgと果肉の含有量100g中40mgよりも多く、約4倍になります。
ビタミンCはコラーゲンの生成を助けてシワを予防する美肌効果やメラニンの生成を抑えてシミや黒ずみを予防する美白効果があります。
漢方薬・陳皮の有効成分として知られているポリフェノールの1種です。
皮に豊富に含まれていて、血流改善や毛細血管の修復を強化し、脳卒中などを予防する効果があり、手や足の指先の冷えを和らげてくれる効果が期待できます。
また、壊れやすいビタミンCを安定させ、助ける作用もあります。
ヘスペリジンは筋や薄皮にも含まれている「ビタミンP」の1種です。
ゆずの特徴的な香りを出す成分で疲労回復や血液浄化作用があると言われています。
赤血球やヘモグロビンを作る成分です。
体内でビタミンAに変わる成分で、粘膜の乾燥を防いだり、疲れ目やかすみ目に効果があると言われています。
老化を防止する抗酸化作用がある成分です。
動脈硬化を予防する効果が期待できる成分です。
果肉の成分と効果
- クエン酸・リンゴ酸
- リモネン
- シトラール
- ペクチン
この2つの酸味成分は、細胞を活性化し、疲労物質である乳酸を分解し、筋肉痛や肩こりの緩和、疲労回復の効果が期待できます。
香り成分で、リラックス効果があります。
アロマテラピーでも使われている精油成分で、血管を広げて血行を良くし体を温める効果があると言われています。
冷え性の改善が期待できます。
香り成分で、リラックス効果やリフレッシュ効果があると言われています。
殺菌作用があるので、水虫や風邪の引き始めの対策にも効果が期待できます。
保湿・保水効果が期待できる成分です。
筋や薄皮、種に多く含んでいる成分なので、ゆずの種を使って化粧水を手作りする人もいます。
ゆず湯の効果で免疫力アップ
ゆずに含まれているビタミンCには下記のような免疫力を高める効果があります。
- 細菌やウイルスの侵入を防ぎ、ウイルスの増殖を抑える
- 活性酸素を除去して老化を防ぐ抗酸化作用
- 鉄分の吸収を助けて貧血予防
- 生活習慣病やがんの予防
その他の成分も下記のような免疫力を高める作用があります。
- 抗菌・抗ウイルス作用
- 殺菌作用
- 抗炎症作用
- 血行促進作用
ヘスペリジン
リモニン
ノミニン
リモネン
リモニン
ノミニン
ヘスペリジン
ヘスペリジン
リモネン
ゆず湯にゆっくり浸かってこれらの成分を吸収したいですね。
ゆず湯を作る3つの方法
ゆずをそのまま入れる
ゆずの表面を軽く水で洗って、そのままお風呂に入れます。
ゆずがお風呂に浮いている景色は癒やされますが、1個だけだと成分も香りも少ないので、ゆずがたくさんあるときにしたい方法ですね。
ゆずに切り込みを入れておくと、成分も香りも強くなりますので、少なくて物足りないときにはやってみてください。
ゆずを切って入れる
ゆずを輪切りや短冊切りなどにしてから、ガーゼのタオルで包んでお風呂に入れます。
果肉がお湯に浸かるので、いちばんゆずの香りと成分が十分に堪能できる方法です。
ただし、ゆずの果肉がタオルから出てしまうと掃除が大変になるので、口をしっかり縛って下さい。
ゆずの皮のみを入れる
ゆずの皮と果肉では含んでいる成分が違います。
果肉に多く含まれるリモネンやシトラールは肌をピリピリさせる成分です。
肌が弱い人はゆずの果肉を取り除いて、皮だけを入れて入浴してください。
ゆず湯の入浴方法
地域によっては「一陽来復(いちようらいふく)」と唱えながら、ゆず湯に浸かると幸せになると言われています。
一陽来復は、災難や良くないことが続いた後に物事が良い方向に向かうという意味です。
冬は免疫力が落ちる季節
冬は紫外線が弱いので、他の季節と比べると体内のビタミンDが半分になってしまいます。
ビタミンDは免疫力に関係していることがわかっています。
なので、体内にビタミンDが少ない冬は免疫力が落ちます。
ゆず湯を冬至だけでなく、冬のあいだはゆず湯にして免疫力を高めておきたいですね。
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